事業承継税制がわかる!


事業承継税制がわかる!


平成30年度税制改正で、抜本的に拡充予定の事業承継税制

改正内容を織り込んだ制度の概要や適用要件、注意点などポイントを図解でやさしく解説します。

制度改正の背景


中小企業の事業承継が喫緊の課題であり、日本経済に与える影響が非常に大きいことを、国は明確に認識しました。

経営者の高齢化が急速に進展しており(年齢分布のピークが60歳代半ば)、これを放置すると10年間で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われると試算されています。

 

この事業承継問題に対処するため、事業承継税制の特例措置を時限的に創設することで、世代交代を後押しすることになりました。

具体的には、今後5年以内に承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う経営者を対象に、現在の事業承継税制を抜本的に拡充します。

 

この制度を有効に活用することで、多くの中小企業のより円滑な事業承継を可能にすると考えています。

納税猶予制度の改正内容


詳細は、こちらをご覧ください →事業承継税制の特例の創設(平成30年度税制改正大綱より)

 

概要は、下の図のようになります。

納税猶予制度のしくみ(贈与税)


  • 後継者が贈与により取得した対象会社株式(全部)に係る贈与税の納税を、贈与者(先代経営者)の相続発生時まで猶予することができます。
  • 贈与者(先代経営者)の相続により、猶予された贈与税は免除される一方、相続税の計算に加算されますが、相続税の納税猶予制度に切り替えることができます。

 

納税猶予制度のしくみ(相続税)


  • 後継者が先代経営者から相続等により取得した対象会社株式(全部)に係る相続税(100%)の納税を、後継者の相続まで猶予することができます。
  • 後継者の相続があった場合には、猶予されている相続税の全てが免除されます。

 

適用要件


手続きと適用後の要件


主な免除事由と取消事由


  •  主な免除事由 (→もう払わなくてよい)
    • 後継者の死亡
    • 後継者が次の後継者に贈与税の納税猶予の適用を受ける贈与をした 
  • 5年内の主な取消事由 (→猶予税額の納付が必要)
    • 後継者が代表者でなくなった(やむを得ない場合を除く)
    • 一族の議決権が50%以下になった
    • 後継者が一族のなかで筆頭株主でなくなった
    • 一部でも対象となった株を売却した 
  • 5年経過後の主な取消事由 (→猶予税額の納付が必要)
    • 対象となった株を売却した(売却した分のみ取消) 
  • 業績悪化により売却等した場合
    • 売却時の株価をもとに再計算し、差額は免除 

【例】

時価総額20億円の会社の後継者となり、先代経営者から60%の株式(12億円相当)を相続した。

相続から数年は業績が好調だったものの、それ以降は業績が悪化。

8年目に同業他社に売却した。

売却時の時価総額(5億円)により再計算し、60%の3億円分を納税。差額9億円分は免除された。

納税猶予制度は複雑!経験者に依頼を!


納税猶予制度について、ポイントをかいつまんでご説明しました。

しかし、根拠法令は「租税特別措置法」と「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の2つにまたがり、特に租税特別措置法の該当条文は、関連法令を含めるとかなりのボリュームで、かつ、難解です。

実際には、都道府県知事への申請のほか、外国子会社がある場合など、猶予の税額計算が複雑になるケースもあり、また、担保提供手続きやそれに伴う利子税の計算など、煩雑な事務を伴います。

極力、経験者にご依頼することをお勧めします。

 

特に、適用を受けられないと言われた場合などでも、要件を精査することで適用が可能な場合もあります。

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