遺留分に関する民法特例 申請体験記
★マル秘攻略法(?)を初公開!★
経営承継円滑化法の遺留分に関する民法の特例を活用すると、後継者及び先代経営者の推定相続人全員の合意の上で、先代経営者から後継者に贈与等された自社株式の価額について、遺留分を算定するための財産から除外することができます。
その手続きは、まず推定相続人全員で合意書を作成し、その合意書について経済産業大臣の確認を受け、その上で、家庭裁判所の許可を受けます。
ここでは、経済産業大臣の確認を受けるための手続きについて解説します。
実際には、中小企業庁事業環境部財務課に申請しますが、なかなか一筋縄にはいきません。
これから申請される方が少しでもスムーズに確認を受けられるよう体験記を初公開します。
申請の前に、こちらに記載した留意点を参考になさってください。
合意書の留意点
経済産業大臣の確認が必要なのは、推定相続人全員で締結した合意書です。
合意書の内容は、公表されている合意書の内容で作成すれば特に問題はないようです。
一方、推定相続人の住所等は、印鑑証明書に書かれたとおりに記載しないといけません。
「〇丁目」は漢数字、「〇番〇号」は算用数字(アラビア数字)が正しい表記ですが、印鑑証明書が横書きの場合、すべて算用数字で記載している自治体もあります。その場合はすべて算用数字で記載していなければ訂正を求められ、そのままでは受理されません。
合意書に修正があった場合、再作成または訂正印による訂正が必要となります。可能であれば、合意書作成の際に捨印を押しておくことで、推定相続人に何度も押印してもらう手間を回避することができます。
申請書の留意点
捨印が押してあっても経済産業省のほうでは訂正はしないので、申請書に訂正箇所があると再提出になります。
申請書に記載する事項も添付する印鑑証明書、戸籍謄本と同様に記載します。
マニュアルには、続柄の記載に「次男」等と記載されていますが、「二男」と記載しないと訂正を求められ、再提出せざるを得ませんでした。
「養子」は、男性の場合は「養子」で良いですが、女性の場合「養女」になると思います。
「孫」の場合は、戸籍には記載されませんので「孫」で問題ないのではないでしょうか。
従業員数証明書の添付書類
証明書の添付書類は、一切書き込みをしてはいけません。書き込みをすると改ざんにあたるそうです。
事業承継税制の認定申請の際にも同様の書類が必要なのですが、役員には「役」と記載するように指示があるので、同じように記載したところ、添付書類には一切書き込みはしないようにとのことでした。
厚生年金保険の標準報酬月額決定通知書は7月1日時点の被保険者を対象に標準月額決定通知が発行されるので、7月1日以降に合意した場合は合意した年度の標準月額決定通知を提出するよう求められます。
また、理由はよくわかりませんが、通知書の発行日が合意日より後の場合は、証明にはならないとことです。
実際に標準月額決定通知が発行される時期は会社毎に異なるため、8月に合意した場合は決定通知書の到着次第ですが、7月の場合にはそもそも添付できない可能性が高いと思われます・・・
標準報酬月額決定の前に給与等の改定があった場合は、標準報酬月額改定通知書も必要です。
また、標準報酬月額決定通知は7月1日時点の被保険者が対象のため、その後入退社した人は、資格取得または喪失通知書が必要となります。
定時決定(算定基礎届の提出)を電子申請を行っている場合、通知書が2枚になっており、ページが「page1of2」などとなっている場合は全てのページを提出する必要があります。(「page2of2」などの注書のみのページも必要です。)
合意日が7月の場合など、従業員数の証明は「被保険者縦覧照会回答票」を入手して添付するのが一番確実と思います。ただし、回答票は発行までに2週間程度がかかります。回答票は発行日現在の被保険者の情報が記載されますし、合意後1か月以内という提出の期限の短さを考えると、合意前に事前に取得の手続きをしておいた方が良いかもしれません。
書類が不備なく揃うと、そこで初めて人数の確認を行ってもらえます。揃わないと、人数が確認できないとのことで、揃ったところで初めて人数を確認をされ、訂正があればその段階で、訂正依頼の連絡がくることになります。
最終的に添付書類の不備で3回出し直しをさせられましたので、お気をつけください。
特例中小会社が上場会社等に該当しない旨の誓約書
誓約書の文言は次のとおりで記載すればよいです。
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第7条第1項の確認申請をするにあたり、当社は、合意日(令和〇年〇月〇日)において、金融商品取引所に上場されている株式又は店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式を発行している会社のいずれにも該当しないことを誓約します。
誓約書の書式が見当たらなかったので、同じ中小企業庁からでている事業承継税制の認定申請書類の誓約書を参考に「同法施行規則で規定する上場会社等に該当しない」と記載したところ、「同法施行規則で規定する」では不明確のため、その条文を記載するか、上記の記載するかいずれかにして下さい。との指摘があったので、上記のような表記としたところ、受理されました。
株主名簿の写し
株主名簿も会社法に基づいた書式で作成して下さいとの指摘がありました。
会社法の株主名簿の記載事項は、氏名(名称)、住所、有する株式の数、種類、取得年月日および株券を発行している場合には株券番号とされています(質権の設定がある場合はその内容も必要です。)。
「取得年月日」の欄が必要です。
正確には、株式の取得ごとに取得年月日を記載する必要がありますが、株数は合計株式数で、取得年月日は、最終取得年月日を記載して下さい。とのことでした。
取得年月日は、確認が難しいからといって空欄は許されません。
提出にあたって
事前に確認したときに、申請書は袋とじしないこと、添付書類は片面印刷とするよう指示がありました。
不備がある場合、受領したと思われる日から一両日中に電話がかかってきます。
ちなみに不備がない場合には、電話はなく、約2週間程度で確認書が届きました。
なお、経済産業大臣の確認が得られるまでに時間がかかったため、家庭裁判所への申請の時点で戸籍の一部が3ヶ月を超過していましたが、経済産業局へ提出したもので良いとの記載があるため、そのまま提出しましたが、特に問題はありませんでした。
最後に
事前に不明点を確認するため電話で問い合わせた際、不備があって再提出となる割合も聞いたのですが、再提出は100%と言われました。
再提出となったときは、提出した全ての書類が返送されますので、返信用封筒はレターパックプラス(赤)を入れておくことをお勧めします。
提出時はレターパックプラス(赤)で提出をしたのですが、返送されるものは、確認書や証明書など、薄いものが送られてくると思っていたので、返信用にレターパックライト(青)を同封したのですが、不備があって返送される際、厚みがあるからとのことで宅配便の着払いで返送されてしまいました。
返信用のレターパックライト(青)の差出人に中小企業庁の記載をされてしまったため、その後もそのレターパックライト(青)を返信用封筒としてそのまま提出したのですが、次も再提出となり、何度も宅配便で返却され、結局、何倍もの金額を支払うことになりました。
書類の作成や添付書類の準備などは、事業承継税制の適用のための申請と比較すると、やや簡易に思えるため、本来はスムーズに確認を受けられるはずなのですが、指摘事項が非常に多く、やり取りにはかなりの手間と時間がかかりました。
指摘事項について説明を求めると電話を切られるなど、理不尽な扱いも多々あったように思います。
今回は紙で申請しましたが、再提出が前提となるため、可能ならば、Gビズフォームポータルサイトからの電子申請の方がまだ手間が少ないのかもしれません。
これから申請される方が少しでもスムーズに確認を受けられるよう願っています。
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