新・事業承継税制がわかる!


新・事業承継税制がわかる!


平成30年度税制改正で、抜本的に拡充予定の事業承継税制

時限措置として新たに設けられた新制度の概要を含め、適用要件、注意点などポイントを図解でやさしく解説します。

 

*平成30年2月に、税制改正法案が国会に提出されたことにより明らかとなった事項について、加筆修正しています。

*平成30年3月に、改正後の関係政令、省令、経営承継円滑化法の省令が公布されたことにより明らかになった事項について、加筆修正しています。

制度改正の背景


中小企業の事業承継が喫緊の課題であり、日本経済に与える影響が非常に大きいことを、国は明確に認識しました。

経営者の高齢化が急速に進展しており(年齢分布のピークが60歳代半ば)、これを放置すると10年間で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われると試算されています。

 

この事業承継問題に対処するため、事業承継税制の特例措置を時限的に創設することで、世代交代を後押しすることになりました。

具体的には、今後5年以内に承継計画を提出し、10年以内に実際に承継を行う経営者を対象に、現在の事業承継税制を抜本的に拡充した新制度を創設します。

 

この制度を有効に活用することで、多くの中小企業のより円滑な事業承継を可能にします。

新・納税猶予制度の内容


詳細は、こちらをご覧ください →事業承継税制の特例の創設(平成30年度税制改正大綱より)

 

概要は、下の図のようになります。

事業承継税制の現行制度と新制度の比較図 入り口の要件を大幅に緩和
事業承継税制の現行制度と新制度の比較図 適用後のリスクを軽減

新・事業承継税制の適用期間


事業承継税制の適用期間の概要図

この制度は、対象となる贈与(や相続)を平成30年1月~平成39年12月の10年間限定とする特例制度です。

 

ただし、適用を受けるためには、平成30年4月~平成35年3月の5年間に、特例承継計画を策定して、都道府県知事に提出し、確認を受ける必要があります。

 

そのため、適用を受けるためには、必ず、今後5年の間にアクションを起こすことが必要です。

 

また、他の株主からの贈与も対象にするためには、先代経営者からの贈与についての贈与税申告期限から5年以内に申告期限が来ることが必要です。

 

事業承継税制の適用期間の概要図 先代経営者以外の者からの贈与についても適用を受ける場合

納税猶予制度のしくみ(贈与税)


事業承継税制の納税猶予のしくみ(贈与税)
  • 後継者が贈与により取得した対象会社株式(全部)に係る贈与税の納税を、贈与者(先代経営者)の相続発生時まで猶予することができます。
  • 贈与者(先代経営者)の相続により、猶予された贈与税は免除される一方、相続税の計算に加算されますが、相続税の納税猶予制度に切り替えることができます。

 

納税猶予制度のしくみ(相続税)


事業承継税制の納税猶予のしくみ(相続税)
  • 後継者が先代経営者から相続等により取得した対象会社株式(全部)に係る相続税(100%)の納税を、後継者の相続まで猶予することができます。
  • 後継者の相続があった場合には、猶予されている相続税の全てが免除されます。

 

適用要件


事業承継税制の適用要件

手続きと適用後の要件(贈与の場合)


事業承継税制の手続きと適用後の要件1
事業承継税制の手続きと適用後の要件2
事業承継税制の手続きと適用後の要件3

主な免除事由と取消事由


  •  主な免除事由 (→もう払わなくてよい)
    • 後継者の死亡
    • 後継者が次の後継者に贈与税の納税猶予の適用を受ける贈与をした 
  • 5年内の主な取消事由 (→猶予税額の納付が必要)
    • 後継者が代表者でなくなった(やむを得ない場合を除く)
    • 一族の議決権が50%以下になった
    • 後継者が一族のなかで筆頭株主でなくなった
    • 一部でも対象となった株を売却した 
  • 5年経過後の主な取消事由 (→猶予税額の納付が必要)
    • 対象となった株を売却した(売却した分のみ取消) 
  • 業績悪化*により売却、解散等した場合 (→売却等の時の株価等をもとに再計算し、差額は免除)

  * 業績悪化とは・・下記のいずれか

    1. 直前3期間のうち、2期以上経常赤字
    2. 直前3期間のうち、2期以上減収
    3. 直前期末において、借金が売上の半年分以上
    4. 直前期における同業種の上場会社の各月平均株価が、直前々期の各月平均株価より下落 又は 直前々期における同業種の上場会社の各月平均株価が、その前の期の各月平均株価より下落
    5. 受贈者が、心身の故障その他の事由により業務に従事することができなくなったこと(解散除く)

 (注) 株式の譲渡や解散等が、直前期末から6カ月以内に行われた場合には、上記1と2の「直前3期間」は「直前4期間」と、上記3の「直前期末」は「直前期末か直前々期末」となります。

事業承継税制適用後の売却時の時価総額と納税猶予額との関係

納税猶予制度は複雑!経験者に依頼を!


納税猶予制度について、ポイントをかいつまんでご説明しました。

しかし、根拠法令は「租税特別措置法」と「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の2つにまたがり、特に租税特別措置法の該当条文は、関連法令を含めるとかなりのボリュームで、かつ、難解です。

実際には、都道府県知事への申請のほか、外国子会社がある場合など、猶予の税額計算が複雑になるケースもあり、また、担保提供手続きやそれに伴う利子税の計算など、煩雑な事務を伴います。

極力、経験者にご依頼することをお勧めします。

 

特に、適用を受けられないと言われた場合などでも、要件を精査することで適用が可能な場合もあります。

必要となる確認申請は5年だけの時限措置です。今すぐご相談を!

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